偶然性

 何となく今日もノーザンホースパークに行ってきた。

 馬というのは不思議なもので、こんな寒い時期に外ではしゃいでも風邪をひかないようだ。

調べてみると馬は、寒さに強いが暑さに弱いらしい。

 今日は馬を見に来たというよりは、この施設の歴史、サラブレット育成牧場の歴史について知りたかったので、「ホースギャラリー」の方にお邪魔した。

 僕は競馬は全然やらないので、競走馬と言われても、いまいちピンとこなかった。

 だが、そういった競走馬を育成するには必ず人の手が必要というもの。

 ホースギャラリーには、競走馬生産牧場集団『社台(しゃだい)グループ』の創業者「吉田善哉(よしだぜんや)」の志が、社台グループ、競走馬の歴史とともにつづられていた。

 吉田善哉は、数々の名言を残している人のようで、その中で僕が気に入った言葉がある。

「生産者は、「預言者」でなければならない」という言葉である。

 この「預言者」という言葉に、僕は「音楽」を感じたんですね。

 音楽(ここでは歌詞付きの音楽のことをいう)というのは不思議なもので、ときどきミュージシャンの作った「その曲の意味」とは、違う方向性に向かっていくことがあると思うのです。その違う方向性に向かうということに「預言者」めいたところを感じるんです。

 だいぶ前、桑田佳祐さんがラジオで言ってたことなんだけど、宮城県のライブで、自分の作った曲とは違った意味での共感をお客さんがしだした時には、メンバー全員が「ヤバい!」と思ったらしいです。つまり震災の時のことを歌った曲ではないのに、会場中が震災を思い出してしまって、共鳴しだしたようなんです。その場の空気が全く変わってしまったのでしょう。

 おそらく、予言というのは、完全一致というものではなく、偶然性のようなことだと思うんですね。

 偶然性というのは、どんなにその数が多くても決して必然にはならず、ずっと偶然のままだから対処のしようがないもの。あまりにもそういった偶然性が多いと壊れてしまいそうですが、逆にそういう偶然性を引き寄せる力があるから長く音楽をやっていけるのかもしれません。

 以前書いた「天才は自然が作り、秀才は人が作る」の「天才」とは、偶然性のことかもしれませんね。

 今度ノーザンホースパークに行ったら、何に出会えるか楽しみだ。